プレゼンテーションの仕方

Presented by Takuto YANAGIDA.
Updated: April 1, 2009.

いろいろな研究発表を見たり,プレゼンの仕方を解説したページを読んだりした上で,自分で気をつけようと思っていることをまとめました.ご意見ご感想などがありましたら,教えてください.

スライドの構成

スライドの構成を考える上での注意点は次のとおりです.

発表内容の結論を早めに発表する
トピック・センテンスの考え方から,また,発表を聞かせるという立場からも,発表で伝えたい内容である結論を早めに述べるべきです.例えば,ニュース番組を見ると,詳しい内容を説明する前に,大体どこで何が起こってどうなったかを手短に話していると思います.小説では先が見えてしまうことはスリルをそぐために避けるべきことかもしれませんが,研究の発表では先が見えることは理解のしやすさにつながります.
オリジナルの内容と既存の内容の区別を明確にする
既存の関連研究の説明と自分自身の研究の説明を混同されないようにしなければなりません.研究のプレゼンテーションでは多くの場合,聞いている人は発表される研究の内容を知りません.また,発表される分野に詳しくない人が聞いている場合,既存の研究を知らないために,ますます混同される恐れがあります.ですので,その区別が明確になるように,スライド上でも工夫します.
「はじめに(目的)」と「おわりに(結論)」を対応付ける
スライドの終わりに発表の内容をまとめたものを見せるのであれば,それが始めに見せた発表(研究)の目的と対応していなくてはなりません.よくある間違いは,始めに壮大な目的(=問題解決)を述べておきながら,終わりでは極めて部分的な成果を述べ,それで研究が完成したかのように発表してしまうことです.すると見ている人は,「何も問題は解決していない」と感じてしまいます.卒論などで,大きなテーマの一部を扱うことになる場合は,そのことを始めに述べておいて,解決した点と対応付けます.スライドが一通り出来たら,「はじめに」と「おわりに」のスライドを並び替えて間を飛ばし,連続して表示させてみてください.

プレゼンテーションに関する気を付けたい事

準備編

読みづらい色の組み合わせ
白い背景に黄色の文字を使う,あるいは黒い背景に灰色の文字を使うのは,よくない色の組み合わせです.明るさの似たものを背景色と文字色にするのは避けましょう.基本は白地に黒字,もしくは黒地に白字を用いると間違いありません.また,1枚のスライド,あるいは全体を通して,色使いを反転させる(白地に黒字から黒字に白地に,あるいはその逆する)ことは避けるべきです.
文字が多すぎる
スライドいっぱいに文字が書かれていると,読むのが大変です.また,読んでいる間はプレゼンタの声もあまり耳に入らなくなりますので,大切なことを聞き逃させてしまうことにつながります.映画字幕では「1秒4文字」という字数と読むのにかかる時間の目安があるそうです.スライドはとにかく簡潔に,文章にならないように書きましょう.
文字が小さすぎる
文字が多すぎると,大抵の場合文字は小さくなります.聞いている人が読めないのでは文字を載せる意味がありません.出来る限り大きく書きましょう.特に,デザイン上の都合で文字を小さくするのはもってのほかです.また,1枚のスライドに入れると文字が小さくなる場合は,2枚に分けましょう.
文字が少なすぎる
逆に文字が少なすぎても,そのスライドからだけでは必要な情報が得られないため,わかりにくくなってしまいます.また,あまりにシンプルなスライドにしてしまうと,見ている人は即座にスライドを読み取ってしまい,話の間が持ちません.次のスライドに切り替わる前に寝てしまうかもしれません.
台詞が書いてある
スライドは台本ではありませんので,話すことを全て載せてはなりません.もし,話すことが全て書かれているのであれば,あなたがしゃべる必要はなくなってしまいます.しかも,そのようなスライドは大抵の場合,文字が多すぎたり小さすぎたりしてしまいます.さらに,プレゼンタ自身がスライドのほうを見てそれを読んでしまうため,会場全体がスライドの朗読会のようになってしまいます.
箇条になってない箇条書き
スライドでは文章を長々と書かないようにするために,箇条書きを多く使います.それがもし番号の無い箇条書きの場合,各項目を並び替えても意味が通じる必要があります.また,番号付きの箇条書きを使う場合は,その順番が意味を持っている必要があります.項目間に何の関連も無いものに箇条書きを使ってはなりません.
前後に参照する必要がある
同じ図やグラフを何度も参照する必要があるときは,いちいちスライドを前に戻って表示させるのではなく, 必要なところに何度もコピーしておきましょう.発表途中にスライドを何度も前に戻すことほど見苦しいものはありません.また,見ている人にとって,スライドが前に戻っているのか後ろに進んでいるのかは区別が付かないことがほとんどです.コンピュータで作成しているスライドはいくらでもコピーできますので,必要なものは必要なだけ,必要な場所に入れておき,「これは先ほどお見せした図ですが」と言いながら見せましょう.
グラフや図とその説明が別々になっている
グラフや図の説明は,スライド上でそれらが必要なところに重ねて書いた方が良いです.たとえばグラフの場合,通常はグラフのタイトル,縦軸と横軸の説明,各データの内容を表す凡例が必要になるでしょう.それら必要な説明は,縦軸の説明であれば縦軸の横に,データの内容の説明であればグラフそのものの上に書くべきです.こうすることによって,グラフとその説明が同時に目に入りわかりやすくなると同時に,スライド上にグラフそのものを大きく載せることが可能になります.

本番(発表)編

日本語がおかしい
ときどき「○○させていただきます」を連発する人がいますが,このような普段使ったことのないほどに格式ばった敬語を使うのであれば,すべての発言を同じレベルの敬語にするべきでしょう.一方で「○○させていただきました」と言いながら,片一方で「○○しました」と言うのは間違っています.卒論発表会や修論発表会といった審査してもらう立場の場合を除き,ほどほどの丁寧語でかまわないと思います.
なにをやったのかわからない
研究を発表する場合はどこが自分のやったことなのかを目立つようにしましょう.話の流れに切れ目がないと,関連研究と自分の研究との境目が滑らかすぎてよく分からなくなります.はっきりと「そこで!!私は△△を○○しました」と言うべきだと思います.せっかく発表しているのですから,自分の研究は積極的にアピールすべきです.
読み終わる前に切り替わる
スライドを見ている人が読み終わる前に切り替えてしまうと,置いてけぼりを食らわせてしまいます.書いた本人はちらっと見ただけで分かるスライドでも,初めて見る人には理解にある程度の時間が必要です.逆に,見ている人が読むのに苦労するほどの情報を1枚に載せているのであれば,それも誤りです.また,ちらっと見せるだけですむと思うスライドであれば,初めから見せる必要は無いのかもしれません.
レーザーポインタがぐるぐる回る
レーザーポインタを持たせるとぐるぐる回す人は迷惑です.最悪なパターンは,自分でしゃべることを全部スライドに書いておいて,読むときにずっとポインタで読んでいるところを追いかけ続ける人です.激しく動き回るポインタの輝点を見ていると気持ち悪くなる人もいます.
どこも指していない指示棒が空中を漂う
スクリーンの何処も指す必要がないときは,指示棒を両手で保持し,スライドを見ている人の視界を妨げないようにしましょう.指示棒を使っているときはしっかりとスクリーンを指し,そうでないときはスクリーンから遠ざけるというメリハリが大切です.必要のないときに指示棒をふらふらさせて,せっかく見てくれている人の邪魔をしてはいけません.
無駄な言葉
口癖はなかなか直らないものですが,次に列挙するような意味の無い言葉を言うのは聞き苦しくなるので止めましょう.「えー」を言ってしまうのは準備不足でしゃべる内容をまとめていないからです.「○○ですけど」を言ってしまうのは質疑応答への対策を怠っているからです.「けど何ですか?」と聞き返されても返答できますか?「○○といった」を連発してしまうのは,無いように自信が無いのであいまいにぼかしてしまおうという心理の表れです.さらにぼかしを入れる表現として「といったような」というものもあります.質問されたときにいつでも最初に「そうですね」と言ってしまうのも止めましょう.自信を持てるようにするのが一番ですが,そうでなくともそれを聞いている人に悟られないよう,出来るだけ言い切るようにしましょう.

本番(質疑応答)編

続く