コンピュータを接点としたサービスとして(ウェブ)アプリケーションや(情報)家電製品が挙げられる.このようなサービスの普及により,それらのヒューマン・インタフェースに接する機会が増加している.
現状では,ユーザはサービスの提供する固定的なインタフェースを使わざるを得ない状況にある.そのため,操作方法習得のコストや,ユーザの特性に適したインタフェースを使いたいという要求が高まりつつある.
筆者らはこれまで,サービスから切り離された,サービス独立のインタフェースを実現することによって,この状況の改善を図ってきた.本稿では,ユーザ嗜好インタフェースを実現するためのセマンティック・ウェブ技術の応用手法について述べる.
本稿ではユーザ嗜好インタフェースの設計アーキテクチャを提案する.このアーキテクチャはサービスからインタフェースの特定のスタイルに依存する部分を切り離し,結果としてサービスのインタラクション仕様やユーザの嗜好に沿った,さまざまな構成のインタフェースが実現可能となる.これは我々が日頃経験する,情報社会におけるサービスが提供するインタフェースがGUIなど特定の形態に限定されているという不便な状況を改善するものである.また,アーキテクチャはインタフェースの細部と無関係にサービスを開発することを可能にする.このインタラクションの記述とインタフェースの構成アルゴリズムはセマンティック・ウェブ技術に基づいている.本文ではシステム・アーキテクチャと実装例について示している.
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